コラム

ちょっと(かなり?)昔の漫画や劇画では、今ほど細かい部分のリアリティが求められてなかったのか、いろいろな物件がわりと雑に描かれていたことが多いように思います。

特にクルマ。全体的に四角いセダン、やや丸いバス、ゴツゴツしたトラックというような、非常にアバウトというか、ざっと「クルマです」という感じの絵ですね。

そう、「おじゃまんが山田くん」に出てきたマイカーみたいな感じといえばいいでしょうか。「クレヨンしんちゃん」の野原家のクルマもたいがい適当でしたが、あれは途中で買い換えてたり「オッサン自動車のアンジェリーナ」という名前が付いていたりしたので、その分少しだけリアルですよね(そうかなあ)。

そして、こういう流れが少し変わってきたのは「こち亀」辺りではないかと思います。中川巡査が乗ってくるスーパーカーがいちいちマニアックな車種だったりするだけでなく、クルマやバイクがほぼ車種がわかるように描かれていますよね。時代的なものもあると思いますけど、この場合はつまり作者がたまたまマニアックだったというか、興味がそこにあったということでしょうね。

誰が見ても「あ、スポーツカー」と感じるクルマ

さて、そういう適当な感じでクルマが描かれていた時代。それでもそのクルマの背景というか、例えば乗ってる人が貧乏か金持ちかを描き分ける必要がある場合。貧乏人のクルマは箱形で、金属なのにツギハギが当たっていたりしてました。一方お金持ちの車は黒塗りの大型セダンか、あるいはスポーツカーでした。

スポーツカーをセダンと描き分けるポイントはたぶん「とにかくロングノーズでショートデッキ」というのに尽きる感じですね。ブラックジャック先生のクルマがセダンで、息子の手術を頼みに来たイタリアの大富豪が乗ってきたクルマが(なんか全長10メートルくらいありそうな)スポーツカー、というような。

そう、あの時代のスポーツカーって、そういう印象だったんでしょうかね。

なんてここまでめっちゃだらだらと書いてしまいましたが、そうなんです。「あのイメージのスポーツカーって、具体的に何なんだろう?」と考えたときに、一番「それだ!」と納得できそうなのが、今回ご紹介するジャガーXKR辺りのような気がするんですね。いや、今回このクルマを見て「てぃきーん」ときた(ニュータイプ?)んですが。

もちろん時代的にXKRの方が後ですからモデルになったわけはないんですけどね。XKのデザイナーはジャガーEタイプから発想を得たということなので、きっとそのEタイプ辺りがモデルだったのでしょうね。となると、イメージが被るのは当たり前なのかもしれませんね。

大人に似合うラグジュアリーなスポーツカー

ほんと、XKRってまさにイメージ通りの「スポーツカー」っていう形をしているんですよ。アルミ製のモノコックボディのラインがものすごく美しい。
全長4.8メートル、幅1.9メートル、重さ1.8トンという大柄なクルマなのですが、その長いフロントには510馬力を発生する5リッターV8スーパーチャージャーエンジンが入っているのですね。これはもう速くないわけがない。

「速い」といってもジャガーはあれでしょ、ちょっと緩くて優雅な…、なんてイメージもあるかと思いますが、この辺りになるともう「スーパーカー」の世界に足を踏み入れている、って感じですね。

しかも革張りでラグジュアリーな内装。英国車、っていう空気がいっぱいに詰まってる様ですね。

大人が乗って似合うスポーツカー、ジャガーXKR。新車当時は1500万円ほどでした。かなり値段がこなれてきたいま、ちょっと気になってらっしゃる方も多いんじゃないでしょうか。

[ライター/小嶋あきら]

「いつかはクラウン」というキャッチコピーがありました。言うまでもなく自動車というものは高い買い物であって、そして同時にステータスでもあるということを示しているわけですよね。

500SL、真のフラッグシップを知る者の渋い選択

新入社員から中堅になって、偉いさんになる。その出世に合わせて身分相応のトヨタ車を買ってくださいね、という戦略ですね。

実際、日本の人のクルマの買い換えでは「もう十年も乗ったし、そろそろ次のに乗り換えようと思う。とりあえず今世話になってるディーラーで、予算に合わせて」というパターン、ありがちですよね。そう、経済状況に合わせてクルマを選ぶ。裕福になるに従って高いのに乗り換えて、最後にそのメーカーのフラッグシップモデルに乗る。当たり前です。

一番高いのにいってしまう心理

しかしこれが外車になると少し違ったパターンがあるようです。そう、ベンツやBMW(二輪車も含めて)、ハーレーなどの場合、日本ではなぜか「フラッグシップ以外売れない」という傾向が見受けられるように思うのです。

いや、もともとリーズナブルなクラスが売れないということはないでしょう。BMWの3シリーズとか魅力的なモデルですし、ハーレーの883などはフルサイズとはまた違った魅力がありますし。でも、たとえば BMWの735とか、フラッグシップの少し下」という辺りが不人気になってる印象があるんですよね。以前よくBMWの二輪車のディーラーに遊びに行ってたのですが、そこである程度年配の人がふらっとやって来ていきなりサクッとお買い上げ、という場面を何度か見ました。そんな時彼らはどれにしようかとあまり迷うことなく「とりあえず一番ええのんにしとこか」と、そういう選び方をされるのですね。

どちらにしても高い買い物。どうせ買うんだったら一番高いのを買っておこう。大は小を兼ねるやないですけど、一番大きなエンジンのを買っとけば間違いない、っていう感じなんでしょうか。

並行物だからこそ、いま目の前に居るこの500SL

そんなこんなで、日本のディーラーではこの「フラッグシップのひとつ下」とされるモデルを最初から正規輸入しない、ということがたまにあるように思います。

しかしメルセデス・ベンツのR107タイプの500SLは、ちょっと違った理由で国内に正規輸入されなかったモデルです。560SLがあるから敢えて500SLは入れなかった、というのではないんです。実は本国を含むヨーロッパでは、500SLこそがフラッグシップだったのです。ただ、日本やアメリカは排ガス規制が厳しく、その基準をクリアするためにはかなりパワーダウンを強いられることになるんですね。それで、そこを排気量で補うために敢えて作られたのが560SLだったんです。それでも結果的には500SLよりも少しアンダーパワーになってしまったんですが。

いま目の前にあるこの素敵な500SLは「並行輸入物だからこそ日本に入ってくることができた」ということで、ここは正規輸入物に対するアドバンテージというか、ことクルマ好きにとっては何でもかんでも正規物が一番というわけでもないという一つの例かもしれませんね。

いい時代の粋な高級クーペ、いまこそ乗ってみませんか

1989年、バブル経済に沸いていた時代をまだまだ引き継いでいた日本にやってきたドイツの伊達男。帝王・メルセデスベンツが「コストカット」なんていう小賢しい風潮に巻き込まれて堕ちていく前の、真に高級なスポーツカーをぜひ味わってみてください。

[ライター/小嶋あきら]

ある年齢層特有の感覚なのかもしれませんが、「280馬力」という数値に妙に強い印象があります。そう、280馬力は永らく国産車の自主規制枠いっぱいいっぱいの馬力だったからです。例えばGT-RやNSXなど、当時最強のスポーツカーのカタログデータにはずらっとこの280馬力が並んでいました。

なお、この自主規制が始まったのは1989年、撤廃されたのは2004年でした。今回ご紹介させていただく1997年式AMG C36は、名前の通り排気量3.6リッターで、280馬力です。奇しくも当時の国内最強の面々と同じ馬力ですね。

しかし直列6気筒DOHC24バルブのNAエンジンから生み出される滑らかかつたおやかなパワーは、「馬力」という数値だけでは表せない豊かな愉悦の世界を紡ぎ出すのです。そう、その完璧なバランスで素晴らしい吹け上がりと最高にシルキーなテイストを誇りながらも、エンジンのサイズが長くなってしまうなどの制約で一時絶滅しそうになっていた直列6気筒。最近またメルセデスはこれを復活させていますね。やはり「いいエンジン」なんですよ。

実はAMGの初のコンプリートマシン

ベースになったのはW202のCクラスですが、このモデルはAMGとメルセデス・ベンツが初期の段階から共同開発した初のモデルで、いわゆるコンプリートマシンというやつです。スポット溶接増しなど、ボディ本体のレベルでノーマルのCクラスよりも剛性が高められています。

ボディのサイズは横幅1.77メートルでいわゆる3ナンバー枠ですが、全長は4.5メートルを切っています。車重は1.5トンちょい。3.6リッターのメルセデス・ベンツとしてはややコンパクトと言えますね。さらに最小回転半径4.9メートルですから、街中でも取り回しのしやすい、使いやすいサイズです。

って、AMGにそういう日常的な生活感のある評価軸はあんまりそぐわない気もしますけど。

もしかしてポルシェ・キラー?

噂ではこのモデル、当時964だったポルシェ911を追い回すために作られた、なんていうことも言われているとかいないとか(どっちやねん)。確かに964のカレラ4だと250馬力で車重1450キロ、同じ後輪駆動という条件でカレラ2だと1350キロ。排気量3.6リッターのドイツ車同士です。なんとなくかみ合いそうな気がしてくるから面白いです。しかし4ドアセダンと2ドアの純粋なスポーツカー、FRとRR、直列6気筒と水平対向6気筒、水冷と空冷。見事にキャラクターが違うこの二台の戦い、一度見てみたい気もします。

メルセデスがバトルするシーンというと、個人的には映画「TAXi」のW124の500Eとプジョー406を思い出してしまいます。ってあの406はもうほとんどボンド・カーに近いような様々な魔改造が施されたやつなので反則なんですが、しかし対するベンツも底知れない「強さ」と「悪者オーラ」が漂っていて、存在感では決して負けていなかったように思います。

いま乗っておきたい、ちょっと気になるAMG C36

特に押し出しの強くない、端正な佇まいのメルセデス・ベンツ。見た目のさりげなさに隠されたAMGのハイパフォーマンス。日常使いに過不足なく、それでいてかつての国産車最強の面々と同じパワーを持った、まさに羊の皮を被ったジェントルな狼といったところでしょうか。って、ジェントルだったら別に狼でなくても良いような、また羊の皮を被らなくても良いような気もしますが、それはそれ言葉の綾ということで。

AMG C3.6の国内での新車価格は当時930万円。あれから二十年あまり、いまこうして「ちょっと乗ってみようか」と思えるところまでやってきてくれました。これはもう試してみないという選択はないのではないでしょうか。

[ライター/小嶋あきら]

日産のJUKEがデビューしたとき、「コンパクトSUV」という説明に「これのどこがコンパクトやねん!」と突っ込んでしまったのですが、カイエンを見ると「ああ、JUKEはやっぱりコンパクトでした」と納得してしまいます。

国内のミニバンを見て「大きいですやん」と思ってて、アメリカのバンを見て納得する、そんな感じですね。SUVって、大きく見えますよね。カイエンは実際に大きいですけど。やっぱり高さがある分スポーツカーとかと比べると大きいなあという印象があります。

最近のスポーツカーは重い?

スポーツカー好きはやはり軽量コンパクトな扱いやすいサイズを好みがちですよね。加速にしても減速にしても軽い方が慣性力が小さいのは当然ですし、コーナーで襲いかかる遠心力も軽くてすみますし。よく「手の内に収まるサイズ感」なんていいます。まあクルマを包み込めるほど大きな手の人はそうそう居ないでしょうけどね。そういう意味ではなく、なんとなく自分の技量でコントロールし切れそうな大きさ、ですね。

しかし最近のスポーツカーはそもそも大きくなってますよね。日産のR35スカイラインは1.7トンほどありますし、ポルシェの911だって1.6トンくらいあります。さらにGT寄りのパナメーラなんて1.9トン超えですからね。

強力なエンジンと高度な電子装備でこれらを制御して、より高い次元で走らせてしまうのが現代のスポーツカーなんですね、きっと。

軽量コンパクトを武器に直感的にドライバーがコントロールするスポーティさとは別に、クルマ側が積極的に関与しつつ高い運動性と快適性を提供するスタイルのスポーティさというのがあるのでしょう。

新しい時代に生き残るスポーツカーなのか?

近ごろはエコだとか経済性だとかそういった理屈でクルマを評価しようとする流れが強くなったと感じます。居住性の高いゆったりとしたボディに、燃費の良いダウンサイジングされたエンジン。近頃の賢いターボは排気量の小ささを感じさせません。そういう正しい「いいクルマ」がもてはやされる世の中です。

そんななか、大きな排気量でコンパクトなボディ、基本的に二人乗り、という楽しく美しく官能的なスポーツカーは「この遊びグルマめ!」という視線に晒されるというか、生きづらさみたいなのを感じるシーンもあるのではないかと思います。しかしこのカイエンなどは、その辺り実に上手く生き抜いて行けそうな予感がします。とりあえず室内も広く荷物も積めて、家族の誰からも不満が出ない快適なクルマ。しかし性能はやはりポルシェ、という部分でドライバーも嬉しくなる。楽しめる。なんかその、ポルシェって良い鉱脈を掘り当てたよね、って感じがします。

BMWのX5が出たときに「ああ、そういう方向に行くのですね」って感じでしたが、ポルシェからカイエン、というのは少し驚きました。スーパーカーブームの頃にランボルギーニ・チーターを見たときのような、っていうとちょっと大袈裟ですけど。

それにしてもBMWはX5を「スポーツ・アクティビティ・ビークル」なんて名付けたり、ポルシェもカイエンを「新しい形のスポーツカー」と呼んだり、どちらもSUVと呼ばれるのをめっちゃ嫌がってる感じですね。そんな既存のカテゴリーで括ってくれるな、ってことなんでしょうか。

時代はカイエンを待っていた?

そんな感じでポルシェ・カイエン、デビュー当時こそ「これなんやねん?」でしたけど、その後アルファ・ロメオやランボルギーニ、さらにロールス・ロイスまでがこのSUV市場に参入してくるわけですから、ポルシェのカイエンはきっと製品として正解やったんでしょうね。たとえばマツダのロードスターのように、実はユーザーはこのカテゴリーを待っていた、というか。

新しい流れ、カテゴリーを作ったのはたぶんX5だったのでしょう。しかしその後にスポーツカーメーカーが続々とSUVを出してきた、その先駆けはもしかしたらカイエンだったのかもしれないなあなんて最近そう思います。

[ライター/小嶋あきら]

以前にも書きましたが、レシプロエンジンというのはピストンが往復する構造上どうしても「振動」が発生します。4サイクルエンジンは一気筒当たりクランクが二回転、つまり720度回転するごとに一回爆発するわけですから、たとえば三気筒エンジンなどではこれを240度ずつずらせば等間隔で爆発するということになります。

理想の直列六気筒、二つでV型十二気筒

クランク軸の側から見ると、三つのピストンがぐるぐるとちょうどエグザイルの人みたいな動きで上下するんですね。これでピストンが上下する際に発生する一次振動、さらにクランクとの関係でピストンがシリンダー側面を押す際に発生する二次振動をうまく打ち消し合わせることができるわけですが、エンジンを真上から見たときに全体を捻るように働く力、いわゆる「偶力」というものは残ってくるわけです。さらにこれを打ち消すためにはこの三気筒エンジンを二つ一直線につなげてやる、つまり直列六気筒エンジンにすればいいわけですね。

そう、ストレートシックスというのはこのように構造上あらゆる振動をキャンセルすることができる完璧なレイアウトなんです。

そしてそれを二つ、V型に合体させてしまえば…。V型十二気筒エンジン。それは自動車用エンジンとしては別格の、怪物のような、また貴族のような存在です。確かにまだ上にベイロンのW型十六気筒とか、あるいはチゼータのV型十六気筒といったちょっと頭のおかしな奴らも居ますが、そういうのを別にしてほぼ頂点に君臨しているといって差し支えないでしょう。

気筒数の多さからくるシルキーな回転

十二気筒でも4サイクルというところは当然変わりません。それぞれの気筒は720度に一回の爆発です。しかしそれが12個もあるのですから、クランク軸の回転で60度に一回爆発する勘定になります。

言うまでもなく、爆発の間隔が短ければ短いほどエンジンはトルク変動が少なく、つまりスムーズに回転するようになります。よく「モーターのようにスムーズな…」という例えがありますが、電動モーターでも極数を増やすと回転ムラが少なくなるわけです。ましてレシプロエンジンでは、ですね。

と、ここまで書くと「V12サイコー!フィットもカローラもクルマはみんな十二気筒にすればいいじゃん!」と思われるかもしれませんが(思わない思わない)、もちろんいいことばかりではありません。

まず、部品点数が多いのでべらぼうにコストが高くなります。そしてある程度の排気量がないと気筒当たりの容積、いわゆる釜が小さくなって効率が悪くなります。さらにエンジン自体が大きくなるので車体がコンパクトなクルマにはそもそも積めません。つまりV型十二気筒は「ボディも排気量も大きくて、さらにコストをかけても怒られないクルマ」、そう、スーパーカーとか超高級車にしか載せられないのですね。

まあいろいろごちゃごちゃ書いてきましたけど、一言で言うと「十二気筒は偉い」のです。

CL600、孤高のラグジュアリー・クーペ

さて、今回はメルセデス・ベンツCL600です。C215と呼ばれるこのモデルは、1996年に登場したCLクラスの二代目にあたります。1999年から2005年にかけて生産されましたが、2002年を境に前期型と後期型に分かれます。ご紹介するのは前期型で、M137と呼ばれる5.8リッターSOHCのV12エンジンが搭載されています。

367ps/54.0kgmを発生するこのエンジン、負荷が少ないときには片側バンク6気筒を停止させるシステム(シリンダー・カットオフ・システム)を標準で装備しています。

思えば1991年、W140型の600SELがメルセデス・ベンツ初のV12で登場したのをCGTVとかで見たときには「うわー、すげー、重さ2トンで400馬力かぁ」なんて思ったものです。そして程なく国内のあちこちで見かけるようになって「結構売れてるなあ」なんて感じました。しかし当のヨーロッパではエンジンの大きさに加えてボディのごつさ、重さなんかから「環境破壊車」なんてディスられたりもしたみたいです。そういうこともあって、こういうシリンダー・カットオフ・システムなんていうものも開発しないといけなかったんでしょうね。

ともあれ、とにかくシルキーかつパワフルな5.8リッターV12エンジンの、まるで天上から湧き出でてくるような極上のトルクを味わいつつ、その美しいボディラインを愛でるカーライフ(って、なんかマンションポエムみたいですね)。CL600に乗ってみませんか?

[ライター/小嶋あきら]

スーパーカー・ブーマーの世代にとって、シルエット・フォーミュラという言葉にはひときわの憧れとノスタルジーがあります。トヨタ・セリカLBターボやランチア・ストラトスターボ、ポルシェ935/77など、ミニカーやラジコンになってきら星のごとく輝いていました。あの歴史的なタミヤRCカーの第一弾もポルシェ934でしたね。

そういうミニチュアが身近に溢れていた一方、しかし「それらが実際に走っているシーン」というのはほぼほぼ見る機会がありませんでした。その頃はまだDVDはおろかビデオも普通の家庭にはありませんでしたし、テレビも地上波の限られたチャンネルしかありません。プロ野球やプロレス、ローラーゲーム(って知ってる世代はかなり古いかもしれませんね、東京ボンバーズとか)というような普通の人にうけるもの以外のスポーツ、特にモータースポーツなんかはまったく放映されませんでした。情報が入ってこないぶん余計に憧れというものは膨らんで、スーパーカーの本などにたまに紹介されるこういったレースシーンの欠片のようなものに胸を熱くしていたのですね。

グループ4やグループ5といったカテゴリーが全盛期だった頃のお話です。

996GT3とカテゴリーとしてのGT3


そんなヨーロッパGTカーレースも、いまではBSで当たり前のように見られるようになりました。現在のカテゴリーとしてのGT3、「グループGT3」がFIAによって設立されたのは2005年です。その当時にあったGT1、GT2の下位のカテゴリーとして登場したもので、当初はアマチュアにも優しいカテゴリーという位置づけでした。しかしGT1、GT2が廃止され、いまではGTカーレースというとGT3、という感じになってます。

さて、タイプ996のポルシェ911GT3が発売されたのは1999年。2004年にはタイプ997に移行し、新たなGT3が生まれます。そう、つまり996GT3が生きた時代には「グループGT3」というカテゴリーはなかったのですね。

実際、ポルシェのGT3のホモロゲーション取得車両は997以降、つまり997と991のGT3しかありません。996タイプの911GT3-R、911GT3-RS、911GT3-RSRはGT2のホモロゲーション取得車両です。

GT3規格ができる前に「GT3」という名前のポルシェが生まれ、その6年後にGT3というカテゴリーが誕生する。未来を予言した、というとちょっとあれですが、レースシーンの中でのポルシェというメーカーを象徴しているような気もします。

996に始まるGT3

ポルシェ996GT3は1999年にGTレースやポルシェカップに参戦しようという硬派なユーザーのために当初1,400台限定の予定で発売されたのですが、予想外の反響で1,889台生産されました。これがいわゆる初期型です。その後に限定ではないモデルとして生産されたのが後期型で、コンロッドがチタン化されるなど回転系の軽量化をはじめとした改良の結果、前期型の360psから381psにパワーアップしています。またブレーキも強化されて、フロントは4ポッドから6ポッドに変更されています。

そのまんまレーサーといったスパルタンなモデルですが、エアコンとパワーステアリングは装備されています。車重は前期型が1,350kg、後期型は1,380kg。これにNAの381psですから非常にパワフルです。0-100km/h加速は4.5秒といわれています。

いまこそ乗っておきたい一台

後輪駆動でMTということを考えると、これはもうアドレナリン出まくりのキャーな乗り物(ってそれはレックスVIKIのキャッチコピーでしたね、スバルさんごめんなさい)だと思われます。正直に申し上げますが、ぼくは乗ったことありません。なんせ希少なスーパーカーですから。ぜひ一度乗りたいです。

現在、最新式の991型GT3はポルシェ先進のデュアルクラッチでツーペダル化され、その洗練された高性能は996型GT3とはまったく別物だといわれています。速さはもとより、乗り心地や破綻のない安心感なども含めてすべての面で別物である、と。まさに最新のポルシェが最良のポルシェ、ということでしょう。しかし「ではそれが必ずしも996よりも楽しいのか」と言われるとおそらくそう簡単に答えは出ないのではないでしょうか。

スリーペダルで操るロードゴーイングレーサー、996GT3の魅力はこれからも輝き続けるに違いありません。

[ライター/小嶋あきら]

海沿いのバイパスは七月の強烈な日差しを浴びて白く光り、所々に案内板が濃い影を落としていた。風はオンショア、塩気を含んでやや温度が低い。フロントガラスを染める青い空に、水平線の辺りから真っ白な真夏の雲が立ち上っている。それはまるでこのクルマのエンブレムのような鮮やかなコントラストでめくるめく夏の午後を描き出していた。そう、誰もが木陰に逃げ込むような…。

なんていきなりどこかで聴いた歌みたいなフレーズをぶっ込んでしまいました。今回ご紹介するのはそう、青い空と白い雲のエンブレム、BMWです。古い関西人はこれを「べんべ」と呼びますが、たぶん正しくは「ベムヴェー」なんでしょうね。って、カタカナで書くと正しいも何もないような気もしますが。

バイエリッシェ・モトーレン・ヴェルケ、英語でババリア・モーター・ワーク。その名の通り元々(航空機の)エンジン屋さんでした。なので、やはり得意技はエンジンといっていいんでしょうね。

なお、エンブレムの由来は永らく「青い空、白い雲、プロペラ」とされてきましたが、2019年に「実は違いますねん」とBMWから公式にアナウンスがありました。90年目のカミングアウトと言いますか、これまで「このエンブレムはなぁ…」と蘊蓄を傾けてきた我々BMWファンとしてはなかなか寝耳に水、青天の霹靂ですね。いや、それほどのことでもないんですけど、もうちょっと早めに言うてほしかったかな、って感じです。

E36タイプM3のシルキー・シックス

こちらのコラムで何度か書かせていただきましたが、BMWの直列六気筒、ストレートシックスは「シルキー・シックス」と呼ばれ、その静謐さとストレスのない吹け上がりで定評があります。この伝統のストレートシックスにさらにチューンを施して、コンパクトなZ3クーペに積んだ特別なモデルがZ3 Mクーペです。

Z3というと現在、中古市場ではかなり手ごろな価格で出回っている印象がありますが、Z3 Mクーペはまったく事情が違います。

Z3ロードスターをベースに、E36タイプのM3に搭載されていた3.2リッターのS50エンジンを積み、クーペタイプのボディを与えられたスペシャルバージョンで、1998年のデビュー当時には日本での新車価格は770万円。当時としてはかなり高価なモデルです。

コンパクトな車体に300psオーバー

コンパクトなライトウエイトスポーツとして登場したZ3は当初5ナンバーサイズで、排気量は1.9リッター、車重も1.2トンほどの小さなクルマでした。これのトレッドを広げ3.2リッター321psのエンジンを載せたのですから、その楽しさは推して知るべしです。初期のモデルに対して車重は1.4トンまで増えてますが、軽く二倍以上のパワーを与えられているわけです。ATが設定されず5MTのみ、という辺りからもこのクルマがとにかく走りの楽しさを追求したモデルであることがわかります。

Z3 Mクーペの価格は高騰しつつある

それだけに生産台数は少なく、現在ではかなり希少なモデルになっています。中古市場での価格は目下高騰中で、一部ではガレージにしまい込んで値上がりを待っているオーナーもかなり居る、なんていわれています。

ノーズが長く、対してデッキの短い独特のフォルムは多少好みの分かれるところかもしれませんが、それだけに気に入ればとことんはまってしまう要素の一つになりそうな気がしますね。

ストレスなくどこまでも回りそうなストレートシックス、自然吸気で300馬力オーバーのハイパワーを、マニュアルミッションで楽しむ。クルマ好きとして、これに魅力を感じない人は少ないんじゃないでしょうか。

[ライター/小嶋あきら]

美味しいものは脂と糖でできている、ということわざがあります。ことわざじゃないか。とりあえず、そう言われます。

美味しいものは必ずしも身体に良いとは言えない。これって、食べ物以外にも当てはまりますよね。たとえば昔から「音の良いアンプは電気をよく食う」とか言いますし、最近では「白熱電球の味わいはLEDには出せない」とか。人の感性とエコロジーとは必ずしも方向が一致しないのですね。

以前からこのコラムで度々書いてる気がしますが、エコで優等生なダウンサイジングターボの「馬力」とノーマルアスピレーション大排気量の「馬力」を比べると、やっぱり純粋に心に訴えかけてくる「パワー」は排気量あってこそなんじゃないかなあと思う、それも似てますね。

あと、音とか排ガスとか、そういうところの性能でも「官能」と「環境」というのはせめぎ合ってる部分ってありますよね。いま普通に走ってる乗用車ってものすごく静かじゃないですか。あれにそのまま抜けの良いマフラーをつけたところで、たいていの場合やかましいだけでパワーは落ちますよね。

日本に正規輸入されなかった500SL

しかし一方でサーキットを走ってるレースカー、ガチでパワーを追求してる彼らは決して静かではありません。乱暴にいうと、パワーを出そうと思ったらとにかくたくさん混合気を燃やすに越したことはないのですから、吸気も排気も抵抗は少ない方が有利ですよね。そう、やっぱり根本的にパワーを追求すると音もやかましくなるんですね。

音に関しても排気ガスに関しても、世界的に見て日本の規制は厳しいと言われます。アメリカのマスキー法から始まった排ガス規制の流れを受けて、日本では昭和48年以降毎年のように排ガスや燃費の規制が強化されてきたわけですが、その一方日本車はこれを律儀にクリアしていく中で、国際的にその品質が認められていったという面もあるといいます。国産車はある意味、規制に育てられたとも言えるかもしれません。

そういうあれこれを踏まえて、今回ご紹介するのはメルセデス・ベンツの500SLです。実はこのモデルは当時正規には日本に輸入されませんでした。これまでくどくどと前振りしてきた日本の規制をクリアしなかったためなのか、あるいは当時バブルの真っ只中の日本で「もっと大きな560SLが輸入されているのに500SLは売れないでしょ」という「一番良いやつをくれ」的志向が邪魔をしたからなのか、その辺りはよくわかりません。

実は僅かに560SLよりもスペックが上、という満足感

確かにこの500SLは560SLよりも排気量は少し小さいですが、しかし実はパワーは僅かながらこちらの方が上なんですね。日本に輸入された560SLが235PS/4750rpm、対して並行輸入で入ってきたこの500SLは240PS/5000rpmです。この辺りの5馬力差は実際に感じられるかどうか微妙なようにも思いますが、発生回転数が僅かながら上にあるということは体感的な吹け上がり、頭打ち無くパワーが続いていく感じ、というようなことはあるかもしれません。

なによりこういう細かいところにこだわってこそのクルマ好き、なんじゃないでしょうか。乗っているクルマに関して語るべきことがある、それだけで意味がありますよね。

四人乗りも選べる美しいクーペ

流麗なクーペタイプのオープンカー。5000ccの排気量で人二人を運ぶという贅沢さ。このR107が入ってきた頃の世の中の空気を今もまとっている、そういうクルマです。なんて書いておいてアレなんですが、この粋でイナセなシルエットからは信じがたいことに、実は四人乗りが選べるんです。もちろんリアシートは快適とは言えないかもしれませんが、見た感じ「CR-Zのリアシートよりは圧倒的に普通に乗ってられそう」です。
メルセデス・ベンツのクーペに関して、いつもいつも「大人の」というフレーズを使ってしまいますが、これもまさに大人の色気漂うクルマです。大人と言ってももちろん「二十歳を過ぎている人間」という意味ではなく、また「ターレン」とも違います(そんな間違いする人居てませんね、はい)。

新成人のアンケートで「欲しいクルマ」の一位がプリウスになってしまうエコな世の中です。しかしクルマの魅力って本当にそんなもんなんでしょうか?

法律上の「大人」と私たちクルマ好きの考える「大人」は、一昔前のグロス表示とネット表示よりも大きな大きなギャップがあるのです、きっと。
酸いも甘いもかみ分けた、このクルマに負けない色気をまとった大人にこそ乗っていただきたい。ちょっとレアなメルセデス・ベンツ、500SLです。

[ライター/小嶋あきら]

限定モデル、リミテッドエディション。なんと魅力的なワードなんでしょうか。

資本主義経済の原則として(ってちょっと大きく出てしまいましたが大丈夫なんか自分)ものの値段、価値というものは需要と供給のバランスで決まるわけです。供給側の数量、つまり生産数をググッと絞れば、たとえ需要が大きくならなくても価値は上がるわけですよね。そしてそれがポルシェで、限定数が二桁、わずか20台となると。やはり黙ってられない人は絶対に居ますよね。きっと100人は居ます。たぶん。知らんけど。ほんと。

限定という魔の力

そこへ供給が20台ですよ。「希少」というこれまた強烈な魔力を持ったワードがプラスされて、これはもうかなり大変なことになりますよね。
今回はそんな希少なポルシェをご紹介します。

911の転換点、996タイプ

ベースは初期の996タイプ911です。デビュー当時、トラディショナルな911ファンからは「ちょっとこれは…」と言われた涙目タイプの911ですね。確かにそれまでの911から「この辺りで急に姿形が変わったなあ」という転換点です。どうしても拒否反応は出て仕方ないです。

だいたいドイツのメーカーの「どうこれ?いいでしょ、進化しましたよ」に対して特に日本のファンが「えー…」って反応する、この流れってよくありますよね。たとえばBMWの二輪車。伝統の水平対向二気筒エンジンがそろそろ時代遅れだからと四気筒に移行しようとしたらファンから大ブーイング、結局また二気筒の新しいシリーズを開発して継続とか。ライカもM5で一気に形を変えたらこれまた不評でM6で元の形に戻ったとか。当の911も、ポルシェとしては928を進化形として作り出したもののやはり911人気が根強くて断念したり、いろいろありましたよね。

901から930のあの形こそが911でしょ、っていうのが強かったんでしょうね。実際ぼくもそう感じます。全然オーナーじゃないですけど。それで964まではできるだけイメージを変えないように進化させて、993で「ちょっと変えてみても良いかな?」と様子を見て、この996で一気に「えいやっ」とやってしまった、という感じかなあと思います。

涙目タイプの911。1997年にデビューして、2001年のターボでは早々に丸目に変わってしまいました。しかしこれも20年以上経って見慣れたというか、いま改めて見るとこれはこれでいいよね、という感じがぼくはするのですがあなたそうは思いませんか?

日本向け限定GTエディション

この涙目時代の996の3.4リッターNAエンジンモデルをベースにチューニングを施された「GTエディション」が2000年、日本向けに20台だけ作られたのです。

限定モデルということで、シフトノブやサイドブレーキレバーが専用のアルミニウム製、レザー仕上げになっています。ホイールも専用の18インチスポーツデザインホイールです。さらに足回りがチューンされ、車高が10ミリ下がっています。10ミリというとたったの1センチですが、元々低く設定されているであろうポルシェで、この1センチはかなり印象が変わるはずです。

たとえばモンスタートラックみたいに「相手を踏んだ方が勝ち」という流派だったら車高は高いに越したことはないですが、ポルシェは当然スポーツカーなので低い方が偉いのです。重心が低い方がコーナーで安定する、とかそういう当然の理由だけではなく、なによりかっこいいですから。

そしてエンジン。カムシャフトの変更とコンピューターのセッティングでノーマル比20馬力アップです。300馬力が320馬力というとあまり変わらないように思われるかもしれませんが、20馬力というと250ccのスクーターのエンジン一つ分です。初期型のシトロエン2CVは9馬力でしたが最高速度55キロ出たといいますから、20馬力は侮れないです(わかったようなわからないような例えですね)。
あまりにも少ない生産数なので、かなりポルシェに詳しい人でも気がつかないかもしれません。しかし知ってる人が見るときっと驚く、そんな通好みの限定モデル「GTエディション」。もしも出会ってしまったら…。そう、スルーできない一台ですね。

[ライター/小嶋あきら]

ものすごく当たり前のことですが、エンジンというものは排気量が大きいほどパワーが出ます。
パワー。日本語にするとチカラ。トップギアのジェレミーさんはハイパワーなクルマの加速で感極まると「ぱぅわぁあああ!」なんて叫んでましたが、パワーは直接快感に結びつきます。パワー・オブ・エクスタシーです。って、ロールスロイスさんとホンダさんがごちゃ混ぜになってしまいましたね。

パワーの悦楽

エンジンの場合、軸を回そうとする回転力を「トルク」、それに回転数をかけたものが「馬力」なわけですが、このトルクというのはやっぱり排気量、ちょっと感覚的なんですが「単気筒当たりの釜の大きさ」が大きく効いてくるような気がします。ある程度の回転数から「くわあぁぁぁん」と盛り上がってくる馬力に対して、踏んだ瞬間からいきなり「どかん」と来るチカラとでもいいますか。

大排気量の贅沢

近頃台頭してきたダウンサイジングターボというやつは、確かによくできています。ターボというと昔は下(低回転)がふにゃふにゃで、効き始めるとドカーンとくるいわゆる「ドッカンターボ」なんていうのが多かったですが、いまのはもう本当に「排気量ごまかしてますよね」っていうくらいに自然にゆったりとしたトルクを感じさせてくれたりします。

進化してます、奴ら(誰?)

でも、人間の足の感覚、加速センサー、そういうものは思いの外優秀なんでしょうか、やっぱりなにか違う、っていうのは感じるんですね。
むかしカセットテープのあと、今のようなメモリーオーディオになるまでの少しの間に「MD」というのがありました。音声圧縮技術によりCDに匹敵する音質、なんていわれてましたが、聞き比べるとやっぱりCDよりはだいぶ音が落ちてるよなあ、って感じでした。どちらも光でデータを読み出すディスクで、CDに比べてあれだけ面積が小さいのですから、データ量はものすごく少ないはずですよね。それをいろいろ妖しのデータ圧縮技術を駆使して、スペック上の周波数特性やらSN比やらは立派なものだったんですけどね。

反対に、大昔の蓄音機。あれって実は針先でレコードの溝をなぞって、その振動を純粋に機械的に増幅するというものすごくシンプルな機械なんですね。アンプとかそういう電気ものを介さないという。スペック上の音質は酷いものなんですが、実際に聞くとこれがまあ「箱の中に人が居てる?」っていうくらい生々しい音がしたりします。

機械上や機構上のいろんな要因が絡んでそうなるんでしょうけど、感覚的にはあの大きくて重い円盤に片面で数分しか入らない(78rpmですからね)という密度の低さがいいような気がします。

人の感性に訴えかけてくるということでは「物量」にかなうものはないのでしょう。
カロリーゼロのコーラは確かに甘いけど、どうも甘さが荒いというかすさんだ感じ(飲料メーカーさんごめんなさい)がするよなあ、っていうのとももしかしたら通じるかもしれません。

いま、6.3リッターのAMGに乗れる幸せ

長々と脱線してしまいましたが、やっぱり「気持ちの良いパワー」には「大きな排気量」という正統派の物量に勝るものは無いと思うんですよね。
AMGを含めて、メルセデス・ベンツに関してはこのブログで今までさんざん書いてきました。それはもう、押しも押されもしない高級車ですし、アウトバーンで育ってきた高速性能と居住性に「穴」などあるわけがない、パーフェクトな乗用車でしょう。

そんな中でもおそらく最大排気量、しかもAMGが製作したハイパワーなV8エンジンを搭載したC63 AMG。たとえば同じ6リッタークラスでもV12と比べると、釜が大きいぶんおそらくパワーの出方もより「官能的」であることは間違いないでしょう。6208cc、457PS、600Nm。まさに恐竜のようなエンジンです。

世の中が正しく、賢く、エコになっていく時代。おそらくこの先、こういうモデルは出てこないのではないでしょうか。今だったらまだ10年経っていません。罰ゲームのような税金の割り増しまで、いま少し時間もあります。って、これに乗ろうという人がそういう細かいことを気にするとも思えませんが、それだけまだ年式が新しいということです。楽しむとしたらいまじゃないでしょうか。

[ライター/小嶋あきら]