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ポルシェ911の希少な40周年アニバーサリーエディション。中身もしっかり特別仕様

最初の911が誕生したのは1963年、東京オリンピックの前の年でした。この年、日本では初めての高速自動車国道・名神高速が開通して、高速道路の法定速度が時速100キロと定められました。

911誕生40年

考えてみればそれまで日本の道路では時速61キロ以上出せるところは無かったんですよね。なので当時の国産自動車もだいたいそれを基準に、というかその辺りの道路事情を踏まえて作られていたんでしょうね。

そんな時代に彼の地では普通に200キロで走れる911が造られていたという辺り、やっぱり自動車の文化が違うというか、未だ埋まらない何かがあるのも仕方が無いのかも知れないなあと感じます。

5代目にして初のフルモデルチェンジ、996

911は最初の901型から930型、964型、993型と進化していって、1997年にフルモデルチェンジして5代目の996型になったんですよね。30年以上続いた空冷エンジンから水冷エンジンに移行するという、とても大きな変更でした。そして2003年、911の40周年を記念してアニバーサリーエディションが登場しました。全世界で限定1963台。そう、デビューした年1963年にちなんで、ですよね、これは絶対。

アニバーサリーモデルというとたいてい専用ボディカラーとかエアロパーツとかエンブレムとかホイールとか、そういうエクステリアだったり、あるいは専用カラーのシートとかステアリングホイールとか、そんなスタイル上の特徴で差別化を図ることが多いですよね。996アニバーサリーエディションの場合、外から見た特徴はGTシルバーメタリックのボディカラーにターボ用のバンパー、専用アロイホイールといった辺りで、敢えて言えば地味です。これはポルシェ通でないと見分けがつかないかも知れません。実はこのモデル、外観だけではなくしっかり中身も特別仕様なんですね。

中身もしっかりと特別な996

まずエンジンが違います。吸気系のライトチューンなんですが、ノーマルから25PSパワーアップしてます。320PSから345PSっていうとあまりたいした違いではないように感じられるかも知れません。なんせ分母が大きいですからね。しかし25PSというと250ccクラスのスクーターよりも大きなパワーです。人間込みで300キロ近い重さのものを時速100キロ以上で走らせることができるパワーが上乗せされている、と考えるとなかなか大きな違いですよね。また、非常に基本的なことですが、馬力というのはトルクと回転数で決まります。

仮にトルクが同じだったとしたら、より上まで回せるようにすれば馬力は上がります。よく「回転で馬力を稼ぐ」なんて言いますが、実際にはこれは回さないと違いが出てこないわけで、使いにくいパワーが増えただけ、ということになりがちです。しかしこのアニバーサリーの場合、発生回転数はノーマルと同じ6800rpmで25PSのパワーアップを達成しているのです。つまりその領域でトルクが増えてるんですね。また最大トルク発生回転数も4250rpmから4800rpmにシフトしています。中回転から上に向けてトルクが落ちないということですから、これは実際に乗るとかなりフィールが違うエンジンに仕上がっているということでしょう。いわゆるファインチューニングというやつでしょうか。

エンジンだけではなく、足回りもリファインされています。LSDが入って、さらに10mmローダウンしています。全体としてかなり詰められているというか、ノーマルとはまた違ったものになっていることが想像できますね。

ドイツのものづくりの歴史を感じるというと大袈裟か

言うまでも無くポルシェはドイツ車です。たとえばドイツを代表する工業製品というとライカのカメラがあります。カメラとクルマではまったく違うアイテムですが、しかしたとえばレバーの手応え、ダイヤルの回転する感覚など、機械としての手触りが似ている部分というか、両者に通じている手触りのようなものがあると感じます。またライカはボディに刻印された製造番号から、製造年を調べることができます。ライカファンの中には自分と同い年のライカ、バースデーライカを探して愛用する人が多いです。誕生した年と限定台数を揃えてくるという、ある種ロマンティックな部分は、もしかしたら合理的なドイツらしくないと感じるかも知れませんが、しかしそういう時の流れを感じさせるような息の長い製品を作っている、という強さもまたドイツならではなんじゃないでしょうか。

996型911アニバーサリーエディション。345馬力を6速MTで愉しむとき、きっとドイツのエンジニアリングと、911の40年の熟成を感じることでしょう。

[ライター/小嶋あきら]

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