2020-03-27

クロスカントリータイプ4WDの一つの頂点。憧れのGクラス、メルセデス・ベンツG500ロングの魅力

ウィリス・ジープやランドローバーといった「軍用車をルーツに持った乗用車」というカテゴリーがあります。これらはもちろんヘビーデューティで、走破性に優れた四輪駆動タイプで、いわゆる「クロカン四駆」と呼ばれたあれですね。



軍用車をルーツに持ったメルセデス




ウィリス・ジープやランドローバーといった「軍用車をルーツに持った乗用車」というカテゴリーがあります。これらはもちろんヘビーデューティで、走破性に優れた四輪駆動タイプで、いわゆる「クロカン四駆」と呼ばれたあれですね。



そんな中では比較的新しく、1979年にデビューしたのがメルセデスのゲレンデヴァーゲンです。オーストリアのシュタイア・プフとの共同開発で、今も最終的な組み立てはプフで行われています。



元々が軍用車として企画されたもので、形式名はW461型。NATOで制式採用されています。そしてそれの民生用がW460型、初代メルセデス・ベンツ・Gクラスと呼ばれるモデルです。2,297cc水冷直列4気筒SOHCエンジンの230GEと、2,998cc水冷直列5気筒ディーゼルエンジンの300GDがありました。



ラダーフレーム上に架装されたボディはショートタイプとロングタイプがあり、乗車定員はそれぞれ5人、7人となっています。
トランスミッションは4MTと4AT、駆動方法はパートタイム4WDです。
足回りはリジッドで、コイルスプリングでボディを支えていました。この辺り、まさに軍用車ですね。



基本を踏襲しつつモデルチェンジ、W463




1990年、GクラスはモデルチェンジしてW463型になります。大きく変わったのは、フルタイム4WDになったこと。あと、内装や外装の変更で、より乗用車っぽくなったことくらいです。そう、基本的なところはほとんど変更無く、ぱっと見ただけでは区別が付かないかも知れません。見分ける際の一番のポイントは、ドアの下にステップが無いのがW460、有るのがW463です。



なお、間の型式でW461は軍用モデル、W462はギリシャ向けの軍用車です。



Gクラスは2018年に大きく変更されますが、それまでの間はほぼ同じ設計、同じスタイルのままで作り続けられました。なお、なぜか現行モデルも形式はW463のままです。W460からW463の時よりも明らかに大きな変更なのですが、理由はよくわかりません。1990年のあの時期、外からはわからない大きな変わり目があったのかも知れません。



時代を映して変遷するエンジン




デビュー以来、全体的には大きな変更はなく造り続けられているGクラスですが、その間エンジンだけが時代を映して変遷していきます。W460は2.3リッターの230GEと3リッターディーゼルの300GDでしたが、W463になってからはガソリンエンジンのみになり、1991年には3リッターの300GE、1993年にはついに5リッターV8の500GEにたどり着きました。



レギュラーなGクラスはこの5リッターが排気量の頂点でしたが、さらにハイパワーバージョンでは、1998年に登場したG55AMGロングでは5.5リッターV8スーパーチャージャーエンジン、そして2012年のG65AMGロングにはついに6リッターツインターボエンジンが搭載されます。このエンジンは2015年モデル以降は実に630psという大出力を誇っています。初代の3リッターディーゼルは88psでしたから、実に7倍以上のパワーアップです。ボディの基本は大きく変わっていないということですが、これはもうまったく別のクルマと言ってもいいかもしれません。





1990年代には排気量の拡大が続いていたGクラスは、その後ダウンサイジングの時代を迎え、2013年には3リッターV6DOHCディーゼルターボエンジンを搭載したG350BlueTECとG350dが加わり、さらに2015年にはG500の名称はそのままに新たに176型の4リッターV8DOHCツインターボエンジンを搭載したモデルが現れました。この流れは現行のW463型にも続いていて、現在はOM656型 DOHC 直6ターボエンジンのG350dと176型の4リッターV8DOHCツインターボエンジンのG550、177型4リッターV8DOHCツインターボエンジンのMercedes-AMG G 63という3タイプの展開になっています。



2004年式G500ロングとは




今回ご紹介するG500ロングは、1998年8月にデビューしたモデルです。2001年のマイナーチェンジで、トランスミッションが電子制御式5速ATになっています。また、車内装備としてマルチファンクションコントローラーが追加されました。排気量は4,965cc、エンジン形式113型のV型8気筒SOHCエンジンで、296ps/46.5kgmのパワーを発生します。なお、2004年当時の新車価格は1,134万円でした。



センターデフ付フルタイム4WDは、フロント、リア、センターそれぞれに電子制御式のデフロック機構が備えられ、さらに副変速機も装備されていました。これらは運転席からスイッチで操作できます。





バブル経済の頃、クロカン四駆ブームがありました。元々はスキーブームの延長だったかと思いますが、とにかく大きなクロカン四駆がステータスでした。そしてその頂点はたぶん、レンジローバーでありハマーH1であり、Gクラスであったと思われます。そう、憧れのGクラスですね。特にこのG500は、歴代Gクラス最大排気量を誇るモデルです。燃費などの環境性能とパワーを両立した最近のダウンサイジングターボエンジンは確かに優秀です。それは疑う余地もないでしょう。しかしこの時代の大排気量エンジンの味もまた、抗いがたい魅力があることには間違いありません。



この先もう出てこないかも知れない5リッターV8エンジンのG500ロング、楽しめるのは今しかないのではないでしょうか。
メルセデス・ベンツGクラスは、いわゆる快適なクルマではありません。そこに「ベンツ」の乗り心地を求めると、おそらく「やっちまったぁ」になるでしょう。これはジープやランドローバー・ディフェンダーなどと同じカテゴリーのクルマで、元々は軍用車です。しかし、そこをわかった上で選ぶあなたにとってはきっと「さすがベンツ」と思えるような瞬間がいっぱい訪れる、そういうクルマなのでしょう。



[ライター/小嶋あきら]

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