2020.09.06

さりげなく、AMG。スポーティかつ実用的なC36の魅力

ある年齢層特有の感覚なのかもしれませんが、「280馬力」という数値に妙に強い印象があります。そう、280馬力は永らく国産車の自主規制枠いっぱいいっぱいの馬力だったからです。例えばGT-RやNSXなど、当時最強のスポーツカーのカタログデータにはずらっとこの280馬力が並んでいました。



なお、この自主規制が始まったのは1989年、撤廃されたのは2004年でした。今回ご紹介させていただく1997年式AMG C36は、名前の通り排気量3.6リッターで、280馬力です。奇しくも当時の国内最強の面々と同じ馬力ですね。



しかし直列6気筒DOHC24バルブのNAエンジンから生み出される滑らかかつたおやかなパワーは、「馬力」という数値だけでは表せない豊かな愉悦の世界を紡ぎ出すのです。そう、その完璧なバランスで素晴らしい吹け上がりと最高にシルキーなテイストを誇りながらも、エンジンのサイズが長くなってしまうなどの制約で一時絶滅しそうになっていた直列6気筒。最近またメルセデスはこれを復活させていますね。やはり「いいエンジン」なんですよ。



実はAMGの初のコンプリートマシン




ベースになったのはW202のCクラスですが、このモデルはAMGとメルセデス・ベンツが初期の段階から共同開発した初のモデルで、いわゆるコンプリートマシンというやつです。スポット溶接増しなど、ボディ本体のレベルでノーマルのCクラスよりも剛性が高められています。



ボディのサイズは横幅1.77メートルでいわゆる3ナンバー枠ですが、全長は4.5メートルを切っています。車重は1.5トンちょい。3.6リッターのメルセデス・ベンツとしてはややコンパクトと言えますね。さらに最小回転半径4.9メートルですから、街中でも取り回しのしやすい、使いやすいサイズです。



って、AMGにそういう日常的な生活感のある評価軸はあんまりそぐわない気もしますけど。



もしかしてポルシェ・キラー?




噂ではこのモデル、当時964だったポルシェ911を追い回すために作られた、なんていうことも言われているとかいないとか(どっちやねん)。確かに964のカレラ4だと250馬力で車重1450キロ、同じ後輪駆動という条件でカレラ2だと1350キロ。排気量3.6リッターのドイツ車同士です。なんとなくかみ合いそうな気がしてくるから面白いです。しかし4ドアセダンと2ドアの純粋なスポーツカー、FRとRR、直列6気筒と水平対向6気筒、水冷と空冷。見事にキャラクターが違うこの二台の戦い、一度見てみたい気もします。



メルセデスがバトルするシーンというと、個人的には映画「TAXi」のW124の500Eとプジョー406を思い出してしまいます。ってあの406はもうほとんどボンド・カーに近いような様々な魔改造が施されたやつなので反則なんですが、しかし対するベンツも底知れない「強さ」と「悪者オーラ」が漂っていて、存在感では決して負けていなかったように思います。



いま乗っておきたい、ちょっと気になるAMG C36




特に押し出しの強くない、端正な佇まいのメルセデス・ベンツ。見た目のさりげなさに隠されたAMGのハイパフォーマンス。日常使いに過不足なく、それでいてかつての国産車最強の面々と同じパワーを持った、まさに羊の皮を被ったジェントルな狼といったところでしょうか。って、ジェントルだったら別に狼でなくても良いような、また羊の皮を被らなくても良いような気もしますが、それはそれ言葉の綾ということで。





AMG C3.6の国内での新車価格は当時930万円。あれから二十年あまり、いまこうして「ちょっと乗ってみようか」と思えるところまでやってきてくれました。これはもう試してみないという選択はないのではないでしょうか。



[ライター/小嶋あきら]

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