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スパルタンなポルシェの最右翼、いまこそ乗っておきたい996GT3

スーパーカー・ブーマーの世代にとって、シルエット・フォーミュラという言葉にはひときわの憧れとノスタルジーがあります。トヨタ・セリカLBターボやランチア・ストラトスターボ、ポルシェ935/77など、ミニカーやラジコンになってきら星のごとく輝いていました。あの歴史的なタミヤRCカーの第一弾もポルシェ934でしたね。

そういうミニチュアが身近に溢れていた一方、しかし「それらが実際に走っているシーン」というのはほぼほぼ見る機会がありませんでした。その頃はまだDVDはおろかビデオも普通の家庭にはありませんでしたし、テレビも地上波の限られたチャンネルしかありません。プロ野球やプロレス、ローラーゲーム(って知ってる世代はかなり古いかもしれませんね、東京ボンバーズとか)というような普通の人にうけるもの以外のスポーツ、特にモータースポーツなんかはまったく放映されませんでした。情報が入ってこないぶん余計に憧れというものは膨らんで、スーパーカーの本などにたまに紹介されるこういったレースシーンの欠片のようなものに胸を熱くしていたのですね。

グループ4やグループ5といったカテゴリーが全盛期だった頃のお話です。

996GT3とカテゴリーとしてのGT3


そんなヨーロッパGTカーレースも、いまではBSで当たり前のように見られるようになりました。現在のカテゴリーとしてのGT3、「グループGT3」がFIAによって設立されたのは2005年です。その当時にあったGT1、GT2の下位のカテゴリーとして登場したもので、当初はアマチュアにも優しいカテゴリーという位置づけでした。しかしGT1、GT2が廃止され、いまではGTカーレースというとGT3、という感じになってます。

さて、タイプ996のポルシェ911GT3が発売されたのは1999年。2004年にはタイプ997に移行し、新たなGT3が生まれます。そう、つまり996GT3が生きた時代には「グループGT3」というカテゴリーはなかったのですね。

実際、ポルシェのGT3のホモロゲーション取得車両は997以降、つまり997と991のGT3しかありません。996タイプの911GT3-R、911GT3-RS、911GT3-RSRはGT2のホモロゲーション取得車両です。

GT3規格ができる前に「GT3」という名前のポルシェが生まれ、その6年後にGT3というカテゴリーが誕生する。未来を予言した、というとちょっとあれですが、レースシーンの中でのポルシェというメーカーを象徴しているような気もします。

996に始まるGT3

ポルシェ996GT3は1999年にGTレースやポルシェカップに参戦しようという硬派なユーザーのために当初1,400台限定の予定で発売されたのですが、予想外の反響で1,889台生産されました。これがいわゆる初期型です。その後に限定ではないモデルとして生産されたのが後期型で、コンロッドがチタン化されるなど回転系の軽量化をはじめとした改良の結果、前期型の360psから381psにパワーアップしています。またブレーキも強化されて、フロントは4ポッドから6ポッドに変更されています。

そのまんまレーサーといったスパルタンなモデルですが、エアコンとパワーステアリングは装備されています。車重は前期型が1,350kg、後期型は1,380kg。これにNAの381psですから非常にパワフルです。0-100km/h加速は4.5秒といわれています。

いまこそ乗っておきたい一台

後輪駆動でMTということを考えると、これはもうアドレナリン出まくりのキャーな乗り物(ってそれはレックスVIKIのキャッチコピーでしたね、スバルさんごめんなさい)だと思われます。正直に申し上げますが、ぼくは乗ったことありません。なんせ希少なスーパーカーですから。ぜひ一度乗りたいです。

現在、最新式の991型GT3はポルシェ先進のデュアルクラッチでツーペダル化され、その洗練された高性能は996型GT3とはまったく別物だといわれています。速さはもとより、乗り心地や破綻のない安心感なども含めてすべての面で別物である、と。まさに最新のポルシェが最良のポルシェ、ということでしょう。しかし「ではそれが必ずしも996よりも楽しいのか」と言われるとおそらくそう簡単に答えは出ないのではないでしょうか。

スリーペダルで操るロードゴーイングレーサー、996GT3の魅力はこれからも輝き続けるに違いありません。

[ライター/小嶋あきら]

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